2022.07.15
無事開催。港区の日本酒と、手ぬぐいと江戸。 唎酒師と探る食文化講座。
皆様の陰様で先日、無事開催が出来ました。
ご用意したお酒とアテ、口頭の説明でしたのでまとめてご紹介しておきたいと思います。
★東京港醸造 Sustainable Sake
まさかの無洗米で非常に綺麗なこの味わいと香り。
醸造技術の素晴らしさの表れです。
しかも、『東京の水道水』を仕込み水。
え?これが?!と驚かれた酒好きも居られたのではないでしょうか。
★東京港醸造 Palla-Casey
仕込みの際の生きた乳酸菌が味わいのポイント。まるで白ワインのような酸味と、絶妙な甘み加減。和食にも西洋料理にも素晴らしいポテンシャルを発揮してくれる1本です。
★菊正宗酒造『生酛純米樽酒』×泉橋酒造『いずみ橋 海老名耕地』
超大手酒蔵の丁寧な造りの樽酒×精米率の低い旨口純米酒をブレンド。
開封し、ワインセラーで一週間貯蔵。
江戸町人が呑んでいた、杉樽の香り×低精米酒のナッツのような穀物らしさと酸。美味しく燗酒として呑んで頂けるレベルで狙いました。
★『真鯛の塩焼き』
六代将軍徳川家宣の就任時に用意された鯛の塩焼き3匹で300両・5000万円相当とも言われています。将軍気分を味わって頂けるよう、角上魚類で当日昼に焼き上げて頂いた3匹。皆様に献上致しました。冷めていても美味しいのが塩焼きの真鯛。お殿様も毒味に次ぐ毒味の後に食べていたので膳が運ばれて来る頃には冷めていたようです。
★『かくや』
本来は古漬けで作るべきものですが、衛生面等も考慮し、市販の糠漬けを細かく刻みわずかに塩抜き。生姜、茗荷、胡麻、酒、醤油を加えご用意しました。東京港醸造の酒を晩酌しつつ合うバランスを毎晩研究しました。現代の東京の酒にベストマッチ。特に夏に頂くには至高の組み合わせでした。簡単なので是非この夏皆様に試して頂きたいです。
★『赤味噌の敷味噌豆腐』
江戸の豆腐料理本『豆腐百珍』より第三十六番レシピ。八丁味噌と信州味噌を4:6でブレンドしてバーナーで炙り、豆腐を乗せる。
東京の酒にも江戸の酒にも良しのシンプルにて味わい深い一品です。高輪の豆腐店で買い求めようと思ったのですが、東京中何処の豆腐屋も日曜は休み。休む日が決まっていることが、今に続く町の豆腐屋としてむしろ素晴らしいことと思いました。
★『煎り酒』
恵比寿と代官山で和食ダイニングと寿司屋を経営していたとあるオーナーシェフに頼み込んで、作ってもらいました。江戸後期に千葉・野田などに醤油蔵が出来て、江戸庶民の生活に濃口醤油が浸透するまでは、この煎り酒が醤油のように使われていました。梅干しと鰹節、昆布を日本酒で煮立て作られる調味料。繊細で品のある味わいと淡い綺麗なピンク色。時代の流れで消えてしまったのは、調味料としては手間がかかり日持ちもしないという理由と考えられます。美食に好奇心ある方には是非白身の刺身やチーズなどにも合いますし、試して頂きたいです。
お越し頂いた来場者の皆様。今回関わっていただきました関係者の皆様。
暑い中本当にありがとうございました。
反省点も有りましたが、今回私自身江戸と江戸料理、江戸の酒の豊かさを学ぶ大変良い機会になりました。時の流れに続くもの、素晴らしくも儚く消えるもの。新たに生まれる素晴らしいもの。
今後は『江戸×酒』という新たな引き出しで、また新たな酒の宴が出来そうです。
会場の写真は、お客様としてお越し頂いた星野さんから頂戴しました。