世界最古のシャンパーニュ・メゾン。Ruinart〜ルイナールのセラー。再会の祈り。
まるで、未知の地下洞窟を探検するような、そんな気分だ。
無数のシャンパンが並べられた、幅数メートルの石灰質の地下通路を右に、左に折れ、突如現れる空間。それはまるで何かの儀式を行う祭祀の場の様である。きっと誰もが、良く出来たアミューズメントパークの探検物の比にならないくらい、その胸を高鳴らせるに違いない。
世界最古のシャンパーニュ・メゾンである、「ルイナール」の貯蔵セラーは、古代の石切り場であった広大な地下坑道の奥に、延々と続いている。
ふと見上げると、まるで空に浮かぶ満月のように、丸い小さな「空」を、40メートルを超える地底から望むことができる。
地面を這うロープのような線は、迷っても、出口にたどりつける為の目印。それだけ奥行きがあり、道が枝分かれしている。
甘美で高価なシャンパーニュが、膨大な数山積みされている。これだけ大量のものを見ると、なんだか段々と現実感がなくなる。まるで、壁に描かれた何かの幾何学模様をただ見ているような不思議な錯覚にさえ陥る。
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永い永い眠りの末、いつか優雅にその素晴らしい芳香を、未来の誰かの宴で醸すことだろう。「一期一会」という言葉があるが、その「誰か」が私の近しい人物か、あわよくば未来の私自身であってほしいと願う。薄暗い石灰質の地下、彼らとの再会を密かに祈るのであった。