2018.06.04
晩酌と器の備忘録。2018-4 ③ 魅惑のバター×醤油Concerto。黒はんぺんの冒険。
4月x日
来る「食の欧州遠征」に備え、4月からワインと、日本酒と、ビールに合うツマミを模索している。
『バター醤油』という奇跡の組み合わせが、ホタテやキノコ類といった定番以外に、世界はおろか日本でもさほど汎用されていない事実が、私には不思議でならない。
ただ今日は少々仕事で疲れた。あまり頭を使わず単純にバター醤油に絶対に合いそうな具材を合わせて炒めるだけにしよう。『長芋&しめじ』のバター醤油。胡椒と日本酒も少々。
期待を裏切らない旨さ。白ワインはもちろんだが、常温放置の生酛や、真逆のにごり酒もいける。この器、先日笠間の陶器市「火まつり」で一目ぼれして手に入れたもの。カッコいいでしょう?どんな陶芸家の作品かと言えば、実はこれ老人介護施設で作られたもの。しかも、植木鉢などと共に並んでいたので、もしかしたら植物を入れたりする目的で作られた可能性も?このデザイン性。実はこの四角い縁に薬味などを置くという手もある。これだから器は面白い。
さらにもう一品は、少し冒険して『黒はんぺんのアヒージョ』。「冒険」という言葉の予防線を張りつつ、こんなの美味いに決まってる。余り物の小ねぎも加えて実食。
これは白ワインに合わない理由がない。酸っぱくて暫く冷蔵庫に放置していた安物のソービニヨン・ブランがクイクイいける。正直、日本酒より合う。器は以前確か益子の陶芸市で購入した陶芸家「西丸太郎」さんのもの。元々ライトグレーの「黒はんぺん」は、油でいためると黒というより、暖色のきつね色になる。だから黒系の器に映える。この器も大のお気に入りで、裏返すとまた実に面白い!別の機会にお見せしたいと思う。
そういえば黒はんぺんの原料はイワシである。ポルトガルの料理として「イワシの塩焼き」が有名と聞いて驚く人も居るだろう。さらに驚きなのは、彼らは、どうやらイワシを「赤ワイン」でグイグイ行くらしい。
「イワシを食うのに白ワインだと?アホちゃうか!赤ワインやろ!」と怒る人さえ港町にはいるらしい。黒はんぺんも、もしかしたらポルトガルの赤ワインでグイグイいけるのだろうか?もしイワシ好きのポルトガル人が「黒はんぺん」を口にしたら、一体どんな感想を持つだろうか?
地球には、まだまだ未解決な疑問が多い。
☝かつてポルトガル領であったマカオで食べた「揚げイワシ」。確かあの時は白ワインで食べたんだよな。
4月x日
『目には目を、歯には歯を』と良く言うが、私の晩酌は平和と調和に根ざしており、
『青森には青森を』
『千葉には千葉を』である。
パスポートの切替申請の帰り、近場の酒屋に顔を出すとなかなか界隈で出くわさないレアな旬の酒に遭遇。(心で)スキップしながらの帰り道、これまた運良く、魚屋で青森のヤリイカと千葉のハマグリに遭遇。彼らにしてみれば神奈川の地で『バッタリ』という所だろう。
サッと中骨を抜いて、ワイルドにただ切っただけの丸ごとヤリイカを、バターと醤油を使い左のコンロで強めに炒めて酒を少々。
桜が終わり今満開の、藤の花のように綺麗な色のハマグリを、少し洋風にバターで殻ごと炒ってから、右のコンロでささっと酒蒸し。
『右の頬を打たれれば左の頬を差し出せ』と良く言うが(あまり言わないか)、右のコンロも左のコンロもフル稼働。調理の分量と順序が違うだけで、『バター・醤油、酒』と、使うものはほぼ同じである。いやはや、出来上がってみればこれが全くもって別料理でありながら、全く異なるそれぞれの酒質に合うのだから面白い。
イカの器は作家物の粉引菓子皿。酒杯は錫。
ハマグリの器はお馴染みSさん作。グラスは昔頂いた19世紀ヨーロッパのアンティーク。
箸が止まらず。明日仕事は午後だから、もう一品作るかな。
しかし、また(Facebookに書くには)文が長い。