2018.05.07
2018ベイスターズキャンプ対談。INTERVIEW WITH AFLO ②
〜2018ベイスターズキャンプ対談。INTERVIEW WITH AFLO ①〜 からの続き・・・
1軍キャンプで主力と若手の様子に魅了されたアフロ氏一行。翌朝、嘉手納キャンプ至近の「嘉手納ロータリードライブイン」で「ジャンボチーズバーガー」を買いグラウンドに到着。そこには宜野湾キャンプとは一味違う、あたかもスパルタ高校野球部を彷彿させるような選手たちの野性味ある声と、コーチの罵声が響き渡る。この「虎の穴」から、今年どれだけの選手が這い上がり、ベイスターズのヒーローとなれるのだろうか。
時は1992年横浜スタジアム最終戦。平松政次・斎藤明夫とともに大洋ホエールズを代表したエース・遠藤一彦の引退試合。この日、遠藤の後を継いで、プロ初登板を果たした若手投手がいた。彼の投球をつぶさに外野席から見ながら「このピッチャー、いずれ2桁勝てる選手になれるぜ。」そう断言したのは、何を隠そう若き日のアフロ氏だ。やがてその投手は横浜のエースナンバー「18」を付け、ベイスターズの球団史に燦然と輝くレジェンドとなった。そう。「ハマの番長」こと「三浦大輔」である。
「俺にはさ、選手のオーラが見えるんだよ。」妄言とも思えるその言葉と、明らかに軽い二日酔いのアフロ氏の鈍い眼光が、この日燦々と太陽の降り注ぐ嘉手納のスタンドにあった。
嘉手納球場の程近くにある有名なドライブイン(道の駅)名物のジャンボチーズバーガー。嘉手納キャンプ必食アイテムである。アフロ氏いわく「味?結構普通だよ。でもそれがいいじゃない。食うと(沖縄に)来たなって感じがするんだ。」
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石川:アフロさん。今年も嘉手納に来れましたね。普段tvkのベイスターズナイターでもなかなか見られない未来のスターや、復活を誓うベテラン選手たちが、ともに汗をかいています。
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アフロ:2軍キャンプは皆むっちゃ気合入ってるか、その気合いが入りすぎてバテて死んでるか、大体そんな感じだね。いや俺ね、ここに来ると思うんだけど、今すぐにでも1軍で活躍できる選手って、結構ここに居ると思うのよ。タイミングと運が、選手を生かしも殺しもするよね。
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石川:なるほど。機会次第では、一軍で活躍できる選手がたくさんここにいると!
アフロ:どの世界にもあることじゃん。ほら、すごい綺麗なモデルの女の子がタレントとして全然鳴かず飛ばずなのに、テレビをつければブスやガキアイドルが妙に売れちゃってみたいな。あるだろ?チャンスをものにするってのはさ、
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石川:(遮るように)アフロさん、あの、言葉を選んでくださいね。「ブス」とか、「ガキ」とか。そういえばアフロさんは何故野球を辞めたんでしたっけ?怪我ですか?坊主にするのが嫌だったからとか?
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アフロ:両方あるね。あとね、硬球は痛いから。デッドボールじゃないぜ。打球が詰まった時にバットで手が痺れてすごい痛かったから次の日に辞めたんだ。
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石川:最高級のヘタレですね。この人が野球やらプロの仕事やらを語る資格あるんだろうか。
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アフロ:なあ。なんか、内野の守備連携に八百屋のオヤジが紛れてるのか?
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石川:ああ、あのダミ声の主は飛雄馬ですよ。今年も中心になって、若手野手を引っ張ってますね。去年に増して内野争いが苛烈で、彼も今2軍キャンプに甘んじてるのは歯痒いでしょう。ブレイクスルーを期待したいですね。
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アフロ:なるほど。育成からベテラン、中堅も元気で良いね。バッティング技術はやはり1軍と比べると見劣りするけど、守備の動きはなかなかなもんだな。
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石川:皆技術やパワーをつけて、今年はここにいるメンバーに頑張ってほしいですね。さて、それではブルペンに移動しましょうか。お。手前は平田が投げてますよ。相変わらず2軍にいるのが不思議なくらいの良い球投げるなあ。
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アフロ:やっぱりキレがあるね。隣の進藤も仕上げ早いな。この時期にキャッチャーの手がジンジン来そうな重い球投げてる。課題のコントロールも見る限り悪くなさそうだし。フォームもほんの少し変わったかな?
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石川:雰囲気は、ちょっとルーキーイヤーの三上みたいな印象ありますよね。大学経由社会人野球から入ったオールドルーキーという点でも。実質サイドスローに変更してまだ2年だし、伸びしろに期待したいですね。お。奥のサイドスローは一目でわかりますね。
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アフロ:加賀も今は2軍調整か。もうベテランの域に入ってきたな。
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石川:加賀と大原の左右ワンポイントが長年チームを支えて来ましたからね。
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アフロ:だよな。引退した大原と中華街の焼肉屋でばったり会ったんだよ。スーツ着て、多分球団職員として一歩を踏み出すのかあ・・・と思ったら「ああ、一つの時代が終わったんだな。」って妙に悲しくてさ。
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石川:あの、僕そこにいましたよ。その感情のまま夢中でカルビ焼いてる最中の大原に「お疲れ様でした!」ってでかい声で声かけてすごくびっくりされてたじゃないですか・・・。
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アフロ:だからさ・・・その分、加賀には頑張って欲しいね。・・・あれ?加賀上がっちゃったの?奥に知らねえ若造が入って来たぞ。
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石川:一番奥のブルペンに入ったのが、清宮から夏の高校野球で1試合5三振を奪って注目された、日大三高から今年ドラフト5位で入団の「櫻井」です。其の手前が、ドラフト3位の阪口ですよ。
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アフロ:あれがそうか!知ってるよ。2人ともニュースで10秒位見た。
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石川:…知ってるうちに入ります?
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アフロ:いい素材じゃないの。櫻井って、左で縦のスライダーがエグいんだよな。投げっぷりは田中健二郎みたいだ。阪口もいいね。球はばらけてるけど、あの角度あるストレートは、身体が出来たら高めで空振り取れるタイプに成長しそうだな。
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石川:ホントかどうかわからないけど「三浦大輔を見込んだ」というその眼力が証明できるといいですね。それと、今平田と入れ替わりで手前のブルペン入ったのが、寺田ですね。独立リーグの石川ミリオンスターズからドラフト8位。ドラフトで指名されて「え!?俺?」ってびっくりしてた、サイド気味の右腕です。
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アフロ:いいじゃない。コントロールいいし、ファームで実績積んで、そのうち中継ぎワンポイントみたいな感じで良い活躍するかもね。
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石川:おお。高評価ですね。小柄ですけど、コースつくの上手そうな印象です。
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アフロ:その寺田と話してるあの高校生みたいなキャッチャー誰だ?あいつ性格良さそうだな。
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石川:彼も独立リーグからドラフト9位で入った新人キャッチャーの山本ですね。まだ19歳だったと思います。同じルーキーでも先輩の投手に物怖じせずハキハキしながらしっかりアドバイスしているところを見ると、性格もキャッチャー向きな感じしますね。
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アフロ:誕生日に高い時計もらう魂胆で先輩投手に「いいっすねえ、神ピッチっすよ。」とか言いそうなお前みたいなのと全く違うタイプだよな。好感が持てる。
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石川:だとしてもノーコンなくせに後輩キャッチャーに向かって「てめえワンバン後逸したら殺すぞ!」とか言いそうなアフロさんよりぜんぜんマシですよ。
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アフロ:なんだその口の利き方。お前、やるのか?この野郎。
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石川:その前にチーズバーガー代返してくださいよ。
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アフロ:悪かった。お前いい奴だ。
・・・清々しい青い空の下、険悪なムードを漂で嘉手納の視察を終えたアフロ氏一行は、前日に続き宜野湾の一軍キャンプに向かった。先程の2軍嘉手納球場近くにあるジャンボチーズバーガーの他にも、実は、1軍宜野湾キャンプに来た際には是非食べておきたい気軽な「地元グルメ」もある。宜野湾周辺は、那覇市街地のように飲食店が沢山あるわけでも目の前にコンビニがあるわけでも無いので、練習メニューの合間にちょっとランチを、と思うと選択肢がかなり限られて来るのだ。「練習を見ながら」ということであればキッチンカーや屋台が来てくれているのでそれを食べるのも良いが、界隈で、比較的気軽に楽しめる、この街らしいグルメをここで紹介しておこうと思う。
まずは、球場に持ち込めるテイクアウトから。いなりずしとチキンの店「オイナリアン」。それって「ちっとも沖縄らしくないじゃないか。」と怒られるかもしれないが、沖縄料理だけを「地元グルメ」と思ってはいけない。
いなりとチキンの店「オイナリアン」
宜野湾キャンプが行われている宜野湾海浜公園の正門を出て、正面の道を100メートル足らず程歩くとその店が有る。フードメニューはいなりずしと、フライドチキンのみ。猫の額ほどのイートインスペースはあるものの、テイクアウト主体の店である。店名も、組み合わせも、非常に不可解ではあるが、これが手軽で本当に野球観戦にぴったりなのである。もし横浜スタジアムでこれが販売されれば、間違いなく人気メニューになるであろう。いなりの甘味とシャリの酸味。これがジューシーなチキンと相性が抜群である。宜野湾のスダンドでガツガツと松花堂弁当やかつ丼をかっ食らいながら練習風景を見るのは、なんだか選手にも周りにも気が引ける。(ビールを呑もうとするアフロ氏などはもっての外である。)小腹が空いた時にさっと袋から出して、選手たちの練習風景を品よくのんびり見れる食事としては理想的。ガサガサとかさばるゴミの心配も少ない。いなりとチキンしか売ってないよう店は、広い地球恐らく他には無いだろうし、ここに来た時だけのコンビネーションとしても観戦の思い出に残ることだろう。何より、この球場で練習風景を見ながら「出来たて」を食べることはが出来るのは、公園に来ているキッチンカーなどの出店を除けば他に皆無なのである。
しかし、やはり沖縄に来たからには、球場を出て沖縄郷土料理が食べたい!という方には、最寄りで旨い「沖縄そば」の店を紹介しよう。
沖縄そば「根夢」
最寄りと言っても、残念ながらよほどの健脚でない限り歩こうと思える距離ではないので、移動手段が無い方はあしからず。国道58号線を北に(厳密には北東に)2キロほど先にある沖縄そば屋「根夢」と書いて「ゴン」と読む。「根夢」と書いて「ゴン」と読む。これまた不可解な名前であるが理由は分からないので食べに行ったついでに是非店員さんに聞いていただきたい。元々素朴な味わいの沖縄そばではあるが、ここのそばは、ダシが深みがあって県内でもかなり美味しいと思う。店内も比較的広く、また11時~20時まで休憩なく開店しているので、筒香のシートバッティングに夢中になってるうちにランチタイムを逃した、、という場合もOKだし、キャンプメニュー終了後に立ち寄ることもできる。そばだけでは物足りない食いしん坊には、60円のおにぎりもお勧めだ。
最後にもう一つ、タコライスに代表される「沖縄グルメ」の一部は、米軍カルチャーに大きく影響を受けている。沖縄中で一番美味いとも噂される「タコス」の店。それが「メキシコ」だ。ただし、宜野湾にて「メキシコ」と店名をgoogle mapに入力すると、北半球の反対側・中米の地図が出て愕然とするのでくれぐれもご注意いただきたい。「タコス メキシコ」と入れて頂ければ間違いない。
タコス 「メキシコ」
ここが何故美味いのかと言うと、勿論いろいろな要素はあるのだけれど、一番の魅力は「トルティーヤ」である。・・・いわゆる、「タコスの皮」。では、何故そんなに美味いのか。「揚げたて」だからである。お腹が空いた勢いでがっつくと舌か上顎をヤケドすること必至である。この店も、前述の沖縄そば「根夢(ごん)」の至近にあり、宜野湾球場から2キロほど北東の場所にあるので徒歩は難しい。もし「それでも気合で歩く!」という方は、球場に持って帰る前に冷めてしまうので、広い店内でゆっくり食べていただくと良いだろう。また、曜日と時間によってはかなり混むので、ご注意いただきたい。
ということで、アフロ氏一行は、筒香の打撃練習を眺める前監督中畑氏を眺めながらタコスを食べつつ、この日の練習を視察。ブルペンでは山﨑・三上の力のこもった投球を間近で見て感嘆の声を上げ、気合入りまくりの三嶋や石田のピッチング、今年は先発に食い込みたい飯塚のストレートに頷きながら、午後から突如冷たくなった風に震えながら球場を後にした。
石川:アフロさん、濱口などけが人もいるようですけど、(注:この時点でウィーランド・今永のケガの情報は入っていない状況)今年のキャンプも非常に見ごたえが有りましたね。
アフロ:新人も良いキャラ揃ってるし、ロペス筒香宮崎という役者がそろってる打線も期待できる。今年は狙えるんじゃない?
石川:ずばり!優勝を!
アフロ:いや、2位。
石川:なんでやねん。
アフロ:いや、実際優勝もありうると思うんだけどさ、気持ちが付いていけてないのよ、元大洋ファン心理として。怖いのよ、優勝したらどうにかなっちゃいそうで。去年の3位から、今年2位、そして来年は1位と、階段を踏んでもらわないとさ。俺、去年のまさかの日本シリーズで数日眠れなかったからね。心臓に悪い。
石川:えぇ・・・だって今年こそ横浜公園でビールかけやりたいって息巻いてたじゃ無いですか?
アフロ:ああ。確かにそうだよな。・・・・・じゃあ横浜優勝!!
かくして、昨シーズン、CSを勝ち抜き、日本シリーズを戦い一回り大きくなったチームは2018年シーズンを迎えた。序盤の連敗から、破竹の8連勝。期待の先発陣が想定外の故障で離脱する中、抜擢された若手たちが素晴らしい結果を残す。「躍動」と、「壁」。「ため息」と、「歓喜」。連日の満員で、熱気に満ちたスタジアムの場外には、その歓声がこだまする。「勝ち」を覚えはじめた選手たちは、熱いドラマを見せてくれるのだろう。秋には、青く染まる横浜のスタンドで、ともに歓喜の声を上げ勝利の味を分かち合おうではないか。