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2018.04.12

201605 Philippinesマニラ③ ドブ川熱帯魚。カレー・トラップ。

201605 Philippinesマニラ② 邂逅のコパカバーナ。 からの続き・・。

朝食は朝8時に取ることにした。トレーを取った次の瞬間干からびたパンを見て詫びしい気持ちになる格安ホテルのセルフとは違い、一応コーヒーか紅茶と暖かいパンに加え、火を通した一品とフルーツがテーブルに運ばれてくるスタイルだった。寝起きで旺盛な食欲のない自分にとってはどちらも大差ないのだけれど、「コンチネンタルブレックファスト」ではなく、「アメリカンブレックファスト」ということになるだろう。ウェイターに手を上げて、オレンジジュースとハムエッグとコーヒーを注文した。ハンサムな、年の頃まだ10代後半位の青年だ。ホテルマンらしい所作を身に付けようと一生懸命な様子と、ぎこちないながらも非常に感じの良い笑顔に好感が持てる。マニラという街のホテルで、この職に就いていることを、彼は誇りに思っているに違いない。

ハムエッグはなかなか良い味だった。しかし日本のごく一般的な卵黄が、オレンジの色味を帯びているのを見慣れているせいか鮮やかで明るすぎる「レモン色」黄身は、なんだかニワトリではない別の鳥の卵を食べているような気分になった。30年くらい昔は、日本の卵の黄身はこの色に近かったような気がしてきた。いや、大昔の記憶だから思い違いかもしれない。たかが卵の色一つでちょっとした違いに気付いたり、定かでない大昔の記憶を手繰り寄せるのだから、1ヶ月もこの街に住んだら、きっといい意味でも悪い意味でも色々な発見や驚きに出会うことになるのだろうなと熱いコーヒーを飲み少し舌先を火傷した。

そういえば最近、フィリピンに短期英語留学に来る日本人が結構いるらしい。なぜ欧米でなくフィリピンかと言うと、留学のコストが欧米に比べて圧倒的に安いそうだ。日本以上に英語教育に熱心な韓国では、高校生の頃から上流教育の一環として、子供をフィリピンのスパルタ英語合宿に送り込む親が多いようで、マニラやセブには韓国系経営の語学学校が幾つも存在するらしい。ちなみにフィリピンの母国語は英語ではなく「タガログ語」という独自の言語である。しかし、同時にフィリピン都市部の学校教育は英語を使って授業行っているという話を聞くし、街で色々な人と話せば、日本に比べて圧倒的に英語が日常の中に浸透している印象を誰もが持つことだろう。実際、昨晩のタクシー運転手のように面白い訛りの英語を話す人も多いけれど、語学学校の教師になるような人たちは、ほぼネイティブの英語を話せる人材が殆どだそうだ。学歴の高い人も含めて、国内より海外に仕事を求める、いわゆる「出稼ぎ国家」と言われるこの国の実情を垣間見る一つの事実かもいれない。実は自分も、ラジオの仕事を辞めたら2週間〜1か月ほどの休みを取って、一度、セブでスパルタ英語教育なるものを受けてみようかと何年か前に真剣に考えたいたことがあった。試しに見積もりを上げてみたところ、<2週間><個室滞在><3食の食事付>という条件で10万円程度だったから、単純計算で一日7千円くらい。日本の休日に電車に乗ったり一杯ひっかけに行ったりしたってそのくらいのお金を使ってしまうから、いまでも私はそれはアリだと思う。

最後に出てきたフルーツを食べながら、奥のテーブルを囲んで朝食をとっている10人組くらいの家族を眺めていた。親子3世代に親戚といった構成だろうか。テレビでは日本のアニメが放送されていて、大体5歳〜10歳くらいの3人の子供達は恐らくタガログ語で「ほら!テレビを見てないで食べなさい!」と恰幅の良い父親に何度か叱られていた。各国共通と思える家族の日常の光景が微笑ましかった。

食事を済ませ一度部屋に戻り、海パンに着替えタオルを持ってプールに向かった。気温は26度〜28度といったところだろう。東南アジアにしては暑すぎず、絶好の日焼け日和だ。入口から見て、一番奥のビーチベッドに寝そべり、北緯14.6度の空を見上げた。昔、友人が住んでいたハワイの旧いコンドミニアムにしばらく居候した際、中庭のプールで浴びた日差しとよく似ているなと思った。思いのほか湿気が少ない。赤道に近い太陽が、じりじりと肌を焼く。緯度で言えばマニラの方がホノルルより低い訳だから、ハワイより更に「太陽に近い」ということにはなる。ハワイの半分程度の飛行時間で来れるのだから、季節によってはこういう選択肢も有りなのかもしれない。空港とホテル、そしてショッピングモールだけの往来に限って言えば食事も、ホテルも、南国の植生も、言葉も、強引に言ってしまえばほぼワイキキのようなものだ。もちろん、ABCストアや旅行会社のロゴが入ったワイキキトロリーは無い。そもそもマニラ湾はお世辞にも奇麗な海とは言えないから「ハワイまで行ってホテルでくつろぐだけの人にとって」の話なのだけれど。無論、ハワイだろうがインドだろうがフィリピンだろうが、私のようにどっぷりとその国の濃度と刺激を味わいたい派には、この国の色々を、新鮮な目で見つけてエキサイトすることをお勧めする。

目を閉じる。瞼を通して強烈な日差しが網膜に差し込む。当然「暗闇」は訪れない。むしろ色で言えば黒闇よりも「白」に近い。しばらくやせ我慢をしていたものの、あまりの眩しさに顔を横向きにする。頬にも首にも、無数の細かい紫外線の粒子が満遍なく突き刺さる。「肌で感じる」とはまさにこのことだなと、誰かに語るでもなく心でつぶやく。しばらくすると、ふと横で物音がしたので薄く目を開ける。自分の真横のビーチベッドにタオルを置いて、20代前半くらいのフィリピン人の女性がプールで泳ぎ始めた。「他にビーチベッドがいくつも空いているのに、何故隣に来るんだ?」と、ちょっとした疑問と恐怖を覚えた。色々としばらく考えてみたが、建物の構造上、入り口側のベッドの殆どは午前中日が当たらず、冷たいプールで泳ぐには少し寒いのか、或は、しっかり日を浴びて体を焼きたいかのどちらかだろうという結論に至った。失礼な話だがとりたてて「タイプ」というわけでもなかったので、軽く目が合ってニコっとした以外にはこれといってコミュニケーションをとることもしなかった。それよりも、丁度良い旅の疲労感と一足早い真夏の日差しが5月の身体にあまりにも心地よく、気づけば1時間ばかり屍のように寝ってしまった。おかげで、起きた時にはホテルの入り口にいた褐色の警備員と変わらないくらい腕がこんがりと焼けていた。実はマニラに来るつい少し前、夏場に流れるCMの撮影が終わったばかりだったので、もう少しマニラに早く来ていれば焼けた肌で映像的に映えたのになと、少し惜しい気持ちになった。

部屋に戻り1時間程メールチェックや、仕事と言えるほどでもない単純な野暮用を片付けて、ホテルをチェックアウトする。部屋の確認が終わるまでロビーのWI-FIにアクセスし、マニラ市街地がオフラインでも見られるようiphoneの地図を満遍なくスクロールさせながら記憶をさせる。近場でどこか歩いて行けるような所は無いかと地図を見ながら考えた。そう、今回の旅のほぼ唯一の決め事は、「何も決めずにマニラを歩いてみる」ということだった。国の首都にもなる大都市は「街全体がアミューズメントパーク」・・・とは言わないが、「ぶらり街歩き」こそアジアを楽しむ醍醐味だ。郊外の魅力的な観光名所を巡る旅も勿論良い。が、市民と同じ目線で丸一日、雑踏からハッとするような景色まで諸々が存在する「街」の空気にどっぷり浸かってみることは、リアルな文化を知り、気づき感じる最高のアクティビティであることに違いない。

「SMモールアジア」という、マニラを代表するショッピングモールが一応徒歩圏内にあるので、そこまで歩いてみることにした。ジプニーで恐らく5、6分ほどだろう。しかし、どの車に乗ればショッピングモールまでたどり着けるのか、そしてそれが何時来るのかも、観光客には分かる術がない。ダメ元でホテルの入り口に居たスタッフに聞いては見たものの、案の定、本人も分かっているのか分かってないのか微妙な感じの答えが返ってきたので、諦めて20分ほどかけて歩くことにした。気温は恐らく33℃くらいには達していたと思う。着替えたてのシャツは、あっという間に汗で滲んだ。

ホテルの前の道の渋滞は、盆帰省の中央道並みに酷く、車と徒歩のスピードはそれほど変わらないくらいだった。排ガスとクラクションまみれの道は暑苦しさを倍増させたが、同時に「東南アジアに来たんだ」というこの実感こそ、日常から離れた地球の遠い何処かを歩いている証であるから「気持ちのスイッチ」がONになる。多分、この「スイッチ」が身体に付いている人は決して多くはないだろう。物好きのアジア旅。彼女でも連れてきていたら喧嘩の連続だろう。そう。誰にも過酷で辛い思いをさせないという点で自由な「独り旅」は良い。

ロハス通りの大きな横断歩道を走って渡り、その先に汚れた細い川が見える。川とは言っても遠い先は堰き止められているようで、恐らくやがて埋められてしまう宿命なのだろう。もはや既に、池なのか、水たまりなのかわからない淀みに、数々のプラスティックゴミが浮き、水質は筆についた白絵具を溶いたような「灰色」に濁っている。水面には、何やら無数の小さな波紋が立っていた。きっとヘドロがら湧き上がるガスの泡だろうと思いながら、よく見てみるとなんと、いわゆる日本で観賞魚熱帯魚として人気の「グッピー」らしき美しい小魚が、長い綺麗な尾をヒラヒラさせながら水面に口をパクパクさせ泳いでいるではないか。実家で飼っているグッピーは、繁殖力は有れど水質や温度の微妙な変化ですぐに死んでしまう。なのに彼らは、こんな得体のしれない濁り切った水溜まりで生き生き泳いでいられることに驚くほかなかった。いやはや、生命の環境対応力というのは凄まじい。出来ることならこの魚を日本に持って帰って、そのタフな生命力のDNAを実家のグッピーと掛け合わせたいものだ。しかしそのタフな小魚もやがて埋め立てと同時に命を奪われてしまうであろうことが容易に想像できる。命の儚さ、不条理。ああ。私はそれと知りながら何もすることが出来ないのだ。

「タフ」と言えば、今回のマニラ旅では、人が「タフになること」の是非について深く考えさせられることになった。熱帯魚たちにとっては、この「水たまり」こそが世界の全てであって、彼らにとっては、その何もかもが「当たり前の日常」だ。通りがかりに見た彼らの生き様とその行く末は、この後私が遭遇する「ショック」な出来事を深く考えさせられる一つの暗示だったのかもしれない。

ショピングモールは、アスファルトの陽炎が登る道のまだはるか先に見えた。凸凹したコンクリートの道路を気を使いながらそこそこ重いバッグを背負いつつ、殺風景な道を時折後ろからやってくるバイクや車にも注意しなければならない。女性やアジア初心者にこの界隈の長距離散歩は全くお勧めできない。普段東京でもなかなか真夏日に20分も歩くことは無いから、日本の猛暑を過ごす耐性を、今のうちに少しつけておこうという目的と、そして朝食のカロリーを消費する目的で考えれば丁度良い運動になる。通りすぎてゆくタクシーを横目で追いながら、そう考えることにした。

「SM MALL ASIA」は確かに「アジア」というスケールの名前を冠するだけのことはある、巨大なショッピングモールだった。マニラ湾に面した埋め立て地であろうベイエリアに、ステーキハウスからファストフード、和民からタイ料理まで、飲食店だけで相当数が軒を連ねる。折角なのでフィリピン料理を食べたいと思い、ぐるっと歩いてみたものの、なかなかフィリピン料理に特化した店が見当たらない。海側の飲食店ストリートに美味そうな店が集中しており、ここはステーキでも食べようかと思いかけたところで、1本内側に入ったストリートにようやく1件、フィリピン料理らしい店を見つけた。入り口には明らかにネイティヴな待ち客が数組。ということは地元民にも認められている店に違いない。列になっているわけでもなく固まっている待ち客になんとなく加わると、スタッフに何人だ?と声を掛けられ、3分も待たずに入店することが出来た。食事が済んだ客も次々と出てきたから、回転率は良いようだ。

正直、前回のマニラ旅まで、日本の「隣国」でもある、フィリピンの料理をたった一つの名も挙げることは出来なかったし、実際前回の旅で食べた純粋なフィリピン固有の料理はせいぜい2、3品というところだった。その点、この店はフィリピンの料理を知る上では願ったり叶ったりである。店内に並ぶ、見覚えのない謎の料理の数々がテーブルに着くまでにも見て取れる。「INASAL」というこの店は、ビュッフェ形式のフィリピン料理バイキングである。後で調べたところマニラにも他数店舗を構えており、フィリピン料理の代表的なメニューをしっかりと押さえている。このモールの中では、恐らくベストチョイスと言えたであろう。

案内された席に荷物を置き、奥の皿から順番に並んでいる品々を一通り見てみる。どんな味かなんとなくイメージがつくものと、全く想像もつかないものがランダムに並んでいる。野菜炒めの類からチャーハンのようなもの、肉料理、魚の煮物、ヤシの葉の上に盛られたポリネシアン料理に近いものもある。なるべく見たことが無く、且つ、なんとなく口に合いそうなものを、最初はチョイスすることを試みる。以前のマニラ旅で食べた、豪快に丸揚げしたティラピアのような魚も並んでいた。

フィリピンの人々に特に人気が高いのが「レチョン」という、豚の「丸焼き」だか「丸揚げ」だかを、削ぎながら食べるのがハレの席にも出る人気料理だと、以前ガイドブックで見た。案の定、若者やお昼時の奥様たちの人だかりの真ん中には、それらしき巨大でクリスピーな肉塊が確認できた。

さて、インスタ映えなど気にせず盛った1皿目を実食する訳だが、まず見た目と味のギャップに一番驚いたのは、「カレカレ」という「カレー」状の黄色い食べ物だ。

当然、辛いカレーの類いだろうと疑いもせず口に入れてみた。脳に「味覚センサー異常」信号が送られ、思わず口から出してまいそうになる。「なんだ?これは・・・」全く辛くない。むしろペースト状のピーナッツバターのような、ほんのり甘い余韻が口の中に満ちている。インドから東南アジアの、美味くて、脳天を突き刺すような辛いカレーを沢山味わってその来た先入観がアダとなり、言うなれば体が反射的に拒否反応を示したと言える。しかし、カレーと思わなければ、これはこれでなかなか悪くない味である。他にはムール貝、細かく刻まれた謎の炒め物と、謎の煮物を数品食べてみたが、なんとなく何処かで食べたような味と、全く初めての味の色々が存在して、この1皿を食べ終わった後、どの料理がどんな味だったのか、迂闊にも殆ど忘れてしまい、残念ながら説明ができない。

続いての1皿は、野菜炒めや、モヤシ炒め、コールスローのように細かく刻まれた葉野菜などだ。旅の食事というのは結構「せっかく来たのだから美味しいもの、日本で食べられないものを食べよう」という意思から、シンプルに野菜を食べる機会が少なくなりがちなので、ここは栄養バランスを考えて野菜料理を積極的に食べて行く。ここまで食べみて思ったのは、フィリピンは辛い料理が非常に少ないということだ。東南アジアという地で、しかも赤道に近い熱帯・亜熱帯地域にあって、辛い料理の割合が極端に少ないというのは、ある意味「ガラパゴス的」食文化と言えなくもない。スパイスの種類、及び料理の味付けが、いわゆるインドからタイ、マレーシア、インドネシアへと流れるその系譜とは、明らかに一線を画している。

続いて、ピラフのようなもの、柔ら目に炊いたターメリックライスに近いものを一口ずつ盛ってみた。これは東南アジアらしい味覚と言えそうだ。見た目ソース焼きそばのようなものもあったので一口。こちらは日本のソース系の焼きそばと違い、多分醤油と魚醤のようなものを味付けに使用していると思われ、中国南方系にルーツが有りそうなテイストでなかなか面白い。腹はすでに一杯だったが、スープや揚げ物、炒め物などにも最後に少しトライしてみる。どこの国にもあるような料理も、いくつかあった。試さなかったが寿司もあった。

フィリピン料理は、「洗練されている」というよりは、元々ポリネシアン系の素朴で穏やかな味の文化に、欧米系の味覚と、東南アジア系の味覚と、中華系の味覚が少しずつ混ざり、「独自のスタイルの食」と言って良いのかもしれない。日本人の味覚をもってすると、少々好みの分かれそうなものも確かにある。しかし、煮物っぽいものに関しては、意外にもかなり和食に近いテイストの物であったり、焼き魚は特に下処理でスパイシーな味付けなどをしないシンプルなものも多かったり、むしろ「日本のお年寄りでも口に合うアジア料理」もそこそこあるような印象だった。「中華系」、「インド系」といった、食の体系的なカテゴリーから外れた、他の国に無い料理ジャンルのあり方を知ることができたという点で、非常に貴重で興味深い昼食でもあった。

店を出てから、SMモール内のスーパーマーケットを少し回ってみた。フィリピンの高級スーパーのようで、チーズやハムなど輸入物の食材が豊富に陳列され、鮮魚、鮮肉コーナーにはきちっとした格好のスタッフが人数多めに働いていた。沖縄のグルクンや、イトヨリダイ、日本では高級魚の部類に入るハタ系の魚など、やはり南日本を中心に生息している魚種が豊富に陳列されていた。面白かったというか、ここのディスプレイはちょっと独特で面食らった。

日本ではしばしば、マグロの頭がドンと置かれ、横に刺身が陳列されているところを見かけるが、きっと海外の人々から見ればこんな風に奇異に映るのだろう。

特にめぼしい買い物はなかったが、衣類や雑貨を中心とした店舗群を一通りウインドウショッピングしながら小一時間歩き、モールを出た。時計は14時手前くらいだった。アジアのホテルは、部屋さえ空いていれば、早めのチェックインを比較的快く受け入れてくれる。とにかく重い荷物を下ろしたいので、この日の宿泊先ホテルに向かう為に、タクシーを拾うことにした。
モールを割るように走る道沿いをゆっくり歩きながら、乗車拒否のタクシーや、ヤバそうなタクシーを3台ほど見送ったあと、比較的新し目のタクシーが近くを通ったので、手を上げて停め、「マカティの、ロビンソンまで。幾らで行ってくれる?」と開けた窓越しに話しかける。

おしゃべりで、陽気な運転手だった。
しかし、このご機嫌なタクシーに乗車中、今回のマニラ旅で、最も切ない瞬間と向き合うことになるとは、この時はまだ考えもしなかった。

続く。

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