2016.12.31
Be a Neo backpacker.★LCC弾丸旅行必携アイテム。❶カバン篇。
短い休暇を利用してタイトなスケジュールで旅すること=「弾丸旅行」という言葉が使われ始めたのは、多分それほど遠い昔のことではないと思う。旅行代理店のサイト上では数多くの「弾丸旅行」と銘打ったタイトなスケジュールのプランが組まれ、一般の人のブログやSNSなどでも頻繁に使われている。
「ああ。忙しいけどたまには旅にでも出たいよ。」旅番組や雑誌を見れば青と白のコントラストが美しい南国のビーチやアクティビティが誘惑する。仕事中に何気なく綺麗な景色の写真をクリックしてしまうと、旅のまとめサイトへとリンクされ見たこともないような神秘的な遺跡や、町の喧噪さえ聴こえてきそうな魅力的な写真で溢れかえっている。
「課長・・・金曜、有休消化させてください。いや、今回こそは絶対にお休み頂きます。ハイ。」通勤定期券を深紅のパスポートに持ち替える。駅の自動改札ではない、この週末は搭乗ゲートを抜け、勿論満員の「通勤バス」ではない、「エアバス」に乗り込む。さあ・・・いざ空へ。
そういう現代人のライフスタイルに適った旅のカタチがいわゆる「弾丸旅行」だ。
やはり地中海を眺めながら2か月を過ごしたりするほど人生に余裕がある人や、繁忙期の出勤シフトに大穴を空けてマチュピチュに行くようなタフなメンタルの持ち主はそう多くはない。年に1度、頑張って2度ほど海外旅行に行ければその人は十分に「リア充」と言わる生活をしている部類入るのだろう。しかし、ここ3、4年で海外旅行のハードルは驚く程低くなったとも言える。東京から日光に行く時間と旅費で週末ソウルに行って来れる。沖縄に行くのと全く同じ感覚で、バンコクやマレーシアにも行って来れる。「現実的な海外旅」のハードルが下がった昨今からこそ、「弾丸旅行」という言葉がこれほど急激に普遍的になった理由も、頷けるところだ。
実は、私以外にも、仕事を辞めることもなく、休暇を上手くやりくりしながら弾丸旅を毎年何度も繰り返している人のも存在を、旅先や、仕事で何人も知ることになった。中には学生もいるけれど、社会人で、「ネオ・バックパッカー」(※これはあくまで私の作った造語なのだけれど。休暇を上手に使い、ネットサイトで格安航空券やホテルを予約し、世界中を上手に旅する人のことを指す。仕事を辞めたり、世間からしばらく距離を置いてドミトリーに泊まり続けるヒッピーのような長旅をする「バックパッカー」とは一線を画す定義だ。)の人口は意外と多いのではないかと感じるところである。
ここ数年、大体月一回程度の頻度で、収入の減少を引き換えに自分はアジアへの弾丸旅行を積み重ねてきた。数々の旅の中で、互いに言葉が全く通じない相手とでも「勘」で十分に意思疎通が出来るようになり、地球の歩き方や海外WI-FIをうっかり忘れて初めて訪れる町でもそれほど困らずにやり過ごせる「旅のコツ」のようなものも、それなりに培ってきた。「旅慣れ」とでも言うのだろう。
「旅慣れ」する以前と今で、旅行の際に大きく考え方が変わったのが「荷物」だ。日本とハワイ、日本と香港をしばしば仕事で往復している知り合いの経営者は2人とも、日本に来る時には小さなカバンにパンツとシャツ位しか入れてこないと聞き以前はあきれたものだ。実際、必要な物とそうでないもの。使い勝手の良いものと悪いもの。それらが毎回毎回、わずかにマイナーチェンジしながら「これは要る。要らない。コレよりもこっちだな。」とアイテムが取捨選択されていく中で、まさにこれこそ究極だろうと、今ならば思える。
友達や、当時の女やらと年に1回程度バケーションに出かけていた、言わば「旅シロウト」時代はトランクは大きければ大きい程良いという考えを持っていた。今は真逆である。勿論、 季節によって、あるいは性別・目的によって必要な荷物は勿論異なるだろう。私の旅には口紅も、トラベラーズチェックも要らない。誰かの旅には一眼レフも、kindleも要らないかもしれない。けれど、例えばウエットティッシュや、細かい現地通貨が有ると無いでは、リスクを大いに軽減されることは世界を旅慣れた人なら誰もが共感するところだろう。
それらを踏まえ、これから「アジア旅」、或いは「弾丸海外旅行」をしたい!という方にはきっと参考になると思うので、何回かに分けて私の旅における持ち物を紹介していきたいと思う。
まず最初は「旅行カバン」の話。キーワードは「コンパクト」と「軽量」「使い勝手」。
まず、「LCCを利用する」と仮定して最初は話を進めることにする。勿論LCCなんて使わないという人にも、話のネタとして、或は乗り継ぎ便の欠航の為どうしても時間的に、又はコードシェア便で乗らざるを得ない!という可能性もあるので、是非LCCも知識として知っておいて頂きたい。
「荷物の大きさと重量」これが一番重要だ。
ビンボー旅「楽しい節約旅」を人生で数こなす上で大事なのは、当然コストを抑えること。勿論、アラブに油田や千代田区辺りに複数のビルをお持ちの方などを除けば (そもそもそういう人はLCCに乗る機会は生涯ないかもしれない)「預け荷物」を極力作らない方が良い。 なぜなら、今やアジア各都市を網羅するLCCキャリアは、預け荷物が大抵別料金の為、折角安い運賃で運よくチケットを取れたとしても オプションの荷物代がかさむと結局レガシーキャリアと変わらない、或いはそれ以上の料金がかかってしまうことも往々にして有るからだ。
以前、成田―釜山往復を1980円という信じられないセール価格で旅をしたことがある。 さすがにこれだけ安いと、座席指定や食事などの色々なオプションでも付けないと申し訳なくなってしまうので色々と追加したけれど、何もオプションを付けなかった場合には空港使用料などの諸費用を入れても東京ー熱海を普通電車で往復するより実際安いのだから驚きだ。しかし、この便に、大き目なトランクを持って成田を立ち、帰りに土産の韓国焼酎やら化粧品調味料を巨大トランクにパンパンに詰め数十人分のバラマキ土産用の韓国海苔を買い込んだとすると、 同じ時期、大韓航空の往復便+中級ホテル付きツアーで往復するより高く付くということも十分に有るのだ。
1泊〜3泊、(まあ、自分の場合は~5泊)程度の旅行であれば、行きは機内持ち込みサイズのバッグで十分だ。
もちろん、これはLCCだけではなくレガシーキャリアの旅にも言える。機内荷物だけにしておけば、タイトなスケジュールの旅先で、いつまでたっても出てこない預け荷物をバゲージクレームのレーンでイライラしながら待つ必要が無い。意外とこれが旅の明暗を分けることもあって、本数の少ない交通機関に乗り遅れた結果、次の便まで一時間二時間待つといったタイムロスが、海外の特に田舎の空港ではザラに有る。その上、広い空港や、ホテルまでのアジアの街特有の凸凹した道のりを、ガラガラと重たい荷物を引きずってしんどい思いもしなくて済む。色々な理由で、行きの手荷物はとにかく小さく軽いに越したことは無い。
実際、私の使っている「旅行カバン」についても話しておこうと思う。残念ながら冒頭の写真のリモワのスーツケース達は、身内や友人にはしばしば貸すもののなかなかアジア弾丸旅での活躍の場を見いだせず今の所「宝の持ち腐れ状態」となっている。
主に弾丸旅に持ってゆくものの1つは、リュック兼トロリーになる便利なタイプだ。機内持ち込み荷物としては 中身をパンパンにするとサイズの規定上はギリギリアウト?な大きさになってしまうのだけど、過去数十回の搭乗においてサイズで拒否されたことは一度も無い。
反面、最近のLCCは重量チェックがそれなりにシビアだ。先日もコンパクトなミラーレスカメラを首から下げていたら 「そちらも手荷物扱いになります」と、いうことで一緒に重量カウントされて驚いた。 (特に日本のチェックインカウンターは手厳しい)航空会社によって、又は空港によって、或はスタッフの気まぐれで同一路線でもチェックされる時とされない時まちまちなのだけれど、中には、チェックイン時と搭乗口とでご丁寧に2重チェックされることも有る。
以前、確かクアラルンプールの空港で明らかに荷物重量をオーバーしている中国系のおばさん集団が、いざ搭乗時刻という時に、全手荷物の重量チェックをされている様子を目撃した。係員との激しいバトルが始まり、搭乗締め切り時間が近づくにつれ徐々に焦りだすご婦人方。埒が明かないと諦めた彼女らは荷物をロビーの床に広げ、 衣類や飲み物、土産物など、手荷物の実に3分の1ぐらいをゴミ箱とその周りに放置して (ゴミ箱に入り切らない)、激怒しながら搭乗口をギリギリに無事通過したのだった。
持ち込み手荷物の重量が10キロ迄であれば10キロ以上にならないように準備するのは勿論のことだが、 どうしてもという場合は、重くてポケットに入れられる電子機器・財布などは上着やズボンのポケットに入れるという裏技が有る。 冬場の重衣料などは着込むなどの方法でいわゆる持ち込み手荷物は軽くしておくに越したことは無い。
決して宣伝ではないのだけれど、私の旅の伴侶ともいうべきバッグの一つがこれ。
HIDEO WAKAMATSU ハイブリッドギアトロリー 3WAYキャリーケース
2、3泊程度の国内旅行にもぴったりな量。
この鞄の優れた所は、
①リュックになる。
普通のリュックサックとして十分に使える。 キャリーバッグとしてゴロゴロ転がせない土の道や砂利道や、特に段差の多い街中 (アジアの路面はかなりアナーキーだ)、長い階段などでは非常に重宝する。 ただ、長時間背負うと下部の背に当る部分が直線で頑丈な素材で出来ている為、 腰あたりに痛みを感じることもある。 なのでリュックとして長時間背負うことのみ追求する人には向かない。
②キャリーバッグになる。
キャリーケースのゴロゴロに変身するのが、このバッグの最大のメリットだ。 手持ち部分のバーは2段階に伸縮調節可能で、タイヤローラーの回転も悪く無い。 持ち手から手を放しても安定して立たせることが出来る。 引いて転がす際にはリュックのショルダー部をサイドのポケットにまとめることができるが、 タフな移動をすると時々それが飛び出てタイヤで轢いてしまうことが難点とも言える。 改良点が有るとすれば簡単なホックかマジックテープか何かでリュックのヒモを 簡単に留めることが出来ればキャリー→リュック→キャリーという旅先での使用サイクルが更にスムースになるだろう。 また、ローラー部分がバッグ内にも貫通しているので、荷物を入れる際に汚れる物や傷になるもの、 小さいものなどは底部に入れない方が無難。底には厚い袋に入れた衣類などを入れると、 他の荷物のクッションにもなり丁度良い。
③頑丈。
実は、頑丈さで定評の有る海外ブランドの高価なスーツケースも、 「え!?・・・こんな所が壊れるの?」ということが結構多い。 高級な時計や、車にも同じことが言えて、いわゆる全体的には頑丈なのに脆弱な「アキレス腱」が 存在するのだ。勿論これはあくまで私的な感想なのだけれど。 その点においてもこのカバンは今の所合格だ。かれこれ数十回旅に持って行って、 モノ使いの粗さには定評の有る私のヘビーデューティな扱いも壊れない。強いて言えば最近 伸縮バーのボタンがたまに引っかかる位。今後も暫くは使えることだろう。 機能性、そして細かい所迄の堅牢性は、MADE IN JAPANらしさを実感する。
④お手頃。
この装備。この頑丈さにしては安いと思う。ネットで15000円程度。 似たようなバッグも有るけれど、安価な物は現物を見るまでも無く貧弱そうなものも多いし、同様かそれ以上の機能を持ちつつも作り込みが甘い中国製のものも結構多いという印象だ。正直デザインが若者向けで好みは分かれそうだが「見た目的にOK」という人には是非お勧めしたい。
と、ここまで使用しているバッグを褒めたわけだが、 実は今年の弾丸アジア旅で最も活躍したのは、何を隠そう、「雑誌の付録」としてついていたバックなのだ。
最近の雑誌付録にありがちな、「オマケがメイン」というやつである。出版業界の苦労とその努力が伺える。本当に昨今の付録のクオリティは高くなりつつある。 Mono MAXという雑誌についていた、BEAMS!?ロゴ入りボストンバック。
グローブトロッターで旅をしたい人にとっては本当に「究極のナンセンス」かもしれない。私も去年までだったら絶対に手を出していなかった。ではなぜこのようなカバンで旅をすることになったのか。
①究極の軽さ。究極の収容量。
やはりどれほど軽量化したとはいえ、かさばって、重くて、とかく扱いにくいのがトランクである。例えばグローブトロッターを持ってアジアの町をフラフラ旅するというのは、エアコンの効きも怪しい3速オートマパワステが有るか無いかの70年代クラシックカーで長距離旅行をするようなものだ。その点こちらは日本のコンパクトカーに近いだろうか。2泊程度の荷物を持ち、純粋に用途としての便利さを追求したらこれ以上の物はない、という結論に至った。とにかく軽い。誇張なしでスマートフォン1個分位の重量なのだ。
②ダサい。故に「狙われない」。
正直、ダサイ。シンプルと言えばシンプル。けれど雑誌のオマケである。当然コストを抑えているのでルックス的にはシンプルを恰好良く見せるにも限界がある。ラッフルズやセントレジスに泊まる旅なら、さすがの私でも小さめのリモワを持ってゆく。けれどアジアの街角でリモワをゴロゴロ引き摺りながら闊歩するというのは、しつっこい客引きやボッタクリ、日本語を喋る悪い輩にひたすら「声を掛けてくれ」と言っているのも当然である。 Tシャツに短パン、そしてこのカバンを持ってストリートを歩けば、どんな町にも自分ごと同化してしまうのだ。短い時間で色々周りたい弾丸旅で不愉快な客引きにつきまとわれて貴重な時間を無駄にしたり、不要なリスクを負ったりするのを避ける為には、「オシャレを捨てる」というのも一つの選択肢なのだ。バックナンバーが手に入れば、もう一つ保険に買っておきたいところである。
③小さくもなる、諦めもつく。
とにかく小さく纏まる。おにぎり2個分位の大きさになる。街歩きでは他の小さなバッグに入れるも良し。仮に現地でお気に入りのカバンを買った時、或いはトランクが破損して新しいものを買わざるを得なくなった時はどうだろう。古いカバンが要らなくなっても捨て場に困る時はあるし、だとするとトランクをゴロゴロ2つ引き摺らなくてはならない。その点この鞄はコンビニで買ったペットボトルと一緒にゴミ箱に捨てたって誰も困らない。ただ、如何せん生地が薄い為、いつ破けるかは時間の問題というのも正直有るだろう。少なくともかれこれ国内外7、8回程度の海外旅に持って行って何の問題も無いので、購入当初の予想より遥かに丈夫だったということは言える。
以上、2つ目のバックは、ちょっと極端な例だったけれど、少なくともこういう考え方が出来れば弾丸旅・アジア旅は驚くほどスムースになるし身体的にも楽になることは間違いない。短い旅程で行動範囲が広がり、不要なリスクを減らす上ではかなりメリットになるのだ。
次回は改めて、旅必携アイテムや服について紹介したいと思う。