2016.02.04
唐津焼から始まる器の魅力。① 序章
「一楽二萩三唐津」という言葉がある。茶陶好きなら誰もが知る言葉で、楽焼・萩焼・唐津焼が特に茶人に好まれる抹茶茶碗であることを意味する。
”器に興味がある。”
”いつか色々な焼き物の里を回ってみたい。”
”趣味で陶芸をやってみたい。”
実は世の中にそういう人が結構多いような気がする。
しかしながら陶芸・茶道、あるいは骨董などの奥の深さを見聞きしているうちにどうも敷居が高いような気がして、「入り口」辺りから奥に進んでゆくことを躊躇してしまう人も多いのではないだろうか。
かく言う自分もつい数年前までは、旅先でたまたま陶器の里があればふらりと立ち寄って冷やかし程度に窯を覗いたり、笠間や益子で陶器祭りがあれば日帰りで遊びに行ってみようかと思程度のもので、焼き物に関する知識など殆どゼロに近かった。
陶磁器にまつわる予備知識も要らない。立派な抹茶茶碗を買う為の分割払い可能なクレジットカードも要らない。ただふらっと訪れて頂きたい陶器の里がある。
「唐津」だ。
流通や技術が発達した現在では、例えばどこぞの○○焼と全く同じものを日本中の窯で普通に作れたりする。定年退職した近所のおじさんがどこぞの土とどこぞの釉薬を用い、庭で立派な茶碗を焼いたりしている時世だ。つまり色々な地域であらゆる様式の器が存在する為に、「○○焼」という古来の特徴的「様式」「スタイル」が、初心者には把握しづらい側面もあるのではないかと思う。少なくとも自分がそうだった。
唐津焼は、釉薬で彩るその器の特徴に、しっかりと「○○唐津」という名前がついていて、その種類も豊富。だから目で見て、覚えやすいし、初心者にも感覚的に親しみやすい。
そんな唐津の器を、数回に分けて紹介したいと思う。
★
~続く~
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