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2018.09.27

祝発売・新プライムリッチ。美味い器×旨い料理WEEK。

新・プライムリッチが先週店頭に並んだので(今回もCMナレーションを担当しております)、この日から1週間・「プライムリッチに合う料理を作ってみるWEEK」にすることにしてみた。

残念ながら収録現場では飲めなかったので(ナレーターなのだから当たり前だ)、発売当日、韓国から帰国した成田帰り、最寄り駅のコンビニで早々買って飲んでみる。前回のリニューアルでは、新ジャンルとは思えない強い「コク」がとにかく印象的だった。が、今回はそこをベースに、かなり「洗練」され一層味わい深くなったという印象。これは色々な料理とともに味わってみる甲斐が有りそうだ。

 

 

 

9月20日

大邱で前日に食べてきた「チムカルビ」が忘れられなかった。まだ日本ではほとんど知られていないその料理は、ソウル、釜山に次ぐ、第三の都市「大邱」(テグ)の名物肉料理だ。旅の2泊目を大邱宿泊とした理由の一つに「久々にチムカルビが食べたくなった」というのもある。

帰国翌晩、深夜のスーパーで牛肉を買う。作り方など当然分からない。舌で覚えた味を頼りに、そして幾つかのサイトのレシピを参考にさせてもらいながら調理。コンロに火を入れる。タマネギ、コチュジャン、ニンニク・・・「本物」に近い匂いが、キッチンに漂い始める。

いざ「仕上げ」という所まできて、やはり本場のチムカルビに比べると、どうも色が赤くない。「もう少し唐辛子パウダーを入れよう。んん・・・。もう少し・・・あと少し・・・いや、こんなに入れて良いもなのだろうか?」疑問に思いつつ、どれだけ足してもちっとも理想的な赤い発色にはならないので、途中で怖くなり投入を止める。

本来はその名の通り、骨付き「カルビ」を使うべきところを、深夜のスーパーに牛カルビの姿はなかった。実は大邱で食べてきたのは、本来メジャーな「牛カルビ」ではなく、今回は敢えて珍しい「豚カルビ」だった。「豚でOKなら、国産牛の細切れでもOKだろう」と、辛うじて並んでいた国産細切れ肉を使った。この時点でもう本流ではない。しかも、見た目はちょと牛丼の具のようで作っている途中で思わず苦笑いしてしまったが、香り自体は本場とくらべそれほど遜色ない。味は変わるまい。と、いざ実食。

 

サンチュの葉にチムカルビ、味噌、ニンニクスライスを挟み、頬張る。重要なのは、生のニンニクスライスを挟むことを躊躇してはいけないということ。なぜならこれが肝なのだ。明日の口臭を気にして、本当に美味いメシなど食える筈が無いのである。それは「匂いがきつい」と敬遠して、旨いチーズや発酵食品を食べ逃して生涯を終えるのと同じような愚行である。

 

 

皿は骨董の朝鮮青磁風。「風」と書いたのは朝鮮の「骨董」であるという真偽がいまだもって自分の中で確証が無いから(もちろん骨董商が本物だと言うから購入したのだけど)。しかし、食を盛るには、地味で素朴である意味ちょうど良い雰囲気でもある。ちなみに現地の本物チムカルビは、年季の入ったボコボコのアルミの器で頂いた。↓

 

 

スプーンと箸はソウルで。そしてご飯を盛る金属のお櫃は、韓国済州島で買ってきた現地もの。日本の陶磁器の多くは朝鮮半島を経由して伝えられたのだが、韓国の食卓では、金属の器を多用するところがまた面白い。

 

ビアマグは、備前焼の人間国宝「藤原雄」の緋襷(ひだすき)。

 

にんにくと味噌を盛った皿は古い唐津焼の朝鮮唐津を。

 

残念ながら、現地の人気店の美味さには到底及ばないけれど、しかし、ビール系に合う「別料理」と考えると、これがまたなかなか悪くないアテでもある。「ちょっと入れすぎたかな・・・」と思った唐辛子は思いのほか効いておらず、その辛さは本場の半分程度だった。一体彼らはどんだけの唐辛子を日々の料理に使っているのだろうかと、途方に暮れる一方、次回は勇気を出して、倍、唐辛子を入れてみるかと3本目の缶をプシュっと開けるのだった。

 

 

 

9月22日

スーパーで地鶏のホルモンを見つけた。ちょうちん、レバー、はつ、ヒモ。少量でこれだけ揃うのは珍しいということで、山梨名物「鳥もつ煮」を作ってみることにした。思い起こせばちょうど去年の9月、甲府で3件ハシゴして鳥もつ煮もたらふく食べたっけ。どちらかといえば、盛夏よりは、少し涼しい位の秋に食べたい料理といえるかもしれない。

 

焼き鳥のタレを散々研究してきたので、醤油や砂糖、みりん、酒の塩梅は、ある程度察しがついているつもりだ。料理に「勘」は大切でもある。そして、「弱火でじっくり」も、この手の味付けには大切である。もう一品何か欲しいなと、冷蔵庫に入っていた油揚げに、おフランスで買ってきたハーブミックスと塩をふりグリルで両面を炙る。シソのペーストをちょこっと乗せて簡単おつまみの完成。できあがった「鳥もつ煮」を皿に盛る前に、幾分焦げてしまった1、2枚を油揚げを味見してみたが、これがプライムリッチにまた最高の相性だ。リーデルのビールグラスに半分ほど注いだものが瞬く間に空になってしまった。時にこうして「思いつき料理」が定番簡単おつまみになることがある。

 

 

しかし出来上がった美味そうな鳥もつ煮を、この日はどの器に盛ろうかと随分と悩んだ。

 

平皿ではないし、磁器も違うような気がする。結果、私の「宝物」の一つと言っても良い、滅多に使わない、江戸期の織部の鉢が色味・造形的に良さそうなので、思い切って盛ってみる。形、詫び感、金継ぎ跡、良い色気のある鉢でしょう?

 

 

普段煮物はあまり作らないのだけれど、やはり特色あるこういった地方の美味い煮物を過去一度食べると、ごくたまに脳が「食わせろ」と指令を出す時が有る。

 

個人的には、レバーのクセはビールにあまり合わないことが多いと思うが、この鳥もつ煮は、濃い煮汁の味がうまくレバーと調和してクセを中和する。「きんかん」は、要するに煮卵のようなものだから、当然不味いワケがない。「味のしっかりした煮物ほど、ビール類に合うんだなあ。」と再認識した夜。「鳥もつもいいけど、そういえばまた甲府の「どてやき下條」で呑みたいなあ。」と、側頭葉が「煮物令」を出す。鳥もつ煮が、取り持つ記憶。(←言いたいだけである。)

 

 

 

9月23日

日曜日は「フライデー」だ。要するに帰りが遅くなり、途中、閉店前のスーパーに立ち寄った所、美味そうな揚げ物が半額で山積みされていたので、ししゃものフライとカラマリ(いわゆるイカフライ)を購入。「フライ・デー」。そういうことだ。

 

有難いことにプライムリッチが店頭の一番目立つところに並んでいたので6本パックを追加で購入。心ウキウキワクワク(←それはクリアアサヒの方のキャッチフレーズだ)しながら横浜横須賀道路を飛ばし帰宅。「何か、もう一品欲しいな」、とジャガイモとブロッコリとかぼちゃのオーブン焼きに、2手間ほど加え、ちょっとだけ「リッチ感」を演出。

 

さて、フライにつけるのは、おフランスで買ってきたマスタード・マヨ。ほんのりマスタード粒の辛味が弾けて、しかしながら結構甘い。なかなか日本に無いタイプの味覚で新鮮である。

 

「青」が強調された缶のラベルに合わせ、この日は九谷焼・博峰窯の青い陶板と、ビアグラスにはコバルトブルーの琉球グラスを。オーブン焼きは対照的に茶色。「飛びカンナ模様」が特徴の「小鹿田焼」の丸皿。それぞれいい雰囲気だ。

 

スーパーに並んだ惣菜を美味く味わえるのも、やはりビール類の力量というも。そして忙しい時疲れた時はレンジでチンしてお惣菜というスタイルは、現代人には不可欠であるし、しばしば、自分で作るより安上がりで、且つ美味いことだってある。「出来合い」なんて言わずに、上手に利用して、美味く呑むべきだ。最近は揚げ物類のクオリティが何処も随分高くなったような気がする。お店に行かなくとも、自炊しなくとも、気軽に食べて美味しく飲める現代人は、あるいみ幸せなのかもしれない。

 

 

 

9月24日

例によって、スーパーの魚はほとんど完売というのに、1品だけ山のように売れ残っている魚の切り身があった。「シイラ」だ。日本人にはあまり馴染みのない魚だけど、ハワイでは鯛より高級魚だともいう。魚だろうが惣菜だろうが、たくさんの売れ残りを見るとどうしても「可哀想」という切ない気持ちに襲われてしまう性分の私は、「チーズとハムと豚肉料理」を作るプランを明日以降にスライドさせ、見捨てられた、食べきれるかわからない4切れも入ったシイラのパックを、買い物かごに入れるのであった。

 

前回、「ハワイダイニング風」調理で大成功したこのシイラだが、今回はいかにビール系に合わせるかということで、レジに並びながら決めた。ビールの本場。イギリスをイメージして、フィッシュ&チップス風である。

 

油で揚げている時に気が付く。カロリーと健康を気にしてか、あるいは最近ムニエルばかり作っていたからその習慣からか、衣の付け方が薄すぎる・・・出来上がりはムニエルとフィッシュ&チップスの中間である。欧米も健康志向が強いから、もしかしたら今はこんな風に衣が薄着のフィッシュ&チップスもあるのかもしれない。知らないけど。そういえば昔ロンドンに行った時に、2件目で食べたイタリア系のシェフが作るオシャレ・フィッシュ&チップスは、心なしか衣が薄目だった気がする。そしてその店のフィッシュ&チップスのディップが、一般的なタルタルや、豆のディップやケチャップやらではなく、私の記憶ではアボカドをベースにした非常に画期的で美味しいディップだったのだ。ということでアボカドをベースにニンニク、ハーブミックス、塩、マスタードオイル、胡椒、セサミ、レモン汁などをプロセッサーで混ぜ合わせてオリジナルディップを作成。

 

更に、フィッシュ&チップスに欠かせないのはビネガーだ。ビネガー自体あまり使わないので二が固着している。同じくなかなか使う機会のなかった自家製「コーレーグースー」を試しに加えて、わずかに醤油も足してみる。味見してみるとこれが何気に結構面白い味。イギリス人に出したら「こんなのフィッシュ&チップスじゃ無い!」と絶対に怒ると思うけど。

 

 

さて実食。旨い!兎に角ディップが正解だった。ハーブスパイスが特に功を奏したように思う。3口くらいで350㎖缶を空けてしまう。更に、脂っこい揚げ物にかけるビネガーに、ピリッと特徴的なコーレーグースーの香りが、揚げ物をさっぱりさせるビネガーに、良いアクセントを加えている。

 

今回の皿は、本場イギリスの伝統的な食器「スリップウェア」を使用。(高かったんだ・・結構この皿)。ポテトや、フライを盛った時の雰囲気はこの上無い。アボカドディップの小皿も、同じくスリップウェア。ビアマグは、英国陶器の技術をイギリスから持ってきた民芸運動の中心人物「バーナード・リーチ」や「濱田庄司」スタイルのアンティーク。実際の作者は不明だが、いずれかの直弟子か、彼らの工房の作品で間違いないだろう。

 

下にブロッコリースプラウトを敷いたコールスローの皿は、沖縄・読谷村の陶芸村で購入した壺屋焼の皿。壺屋焼もイギリスのスリップウェアや民芸運動の影響を大きく受けた焼き物なので、その親和性はご覧の通り。「ぬくもりのある器」なんて良く人は言うけど、まさにこういう器がその「極致」では無いだろうか。ぽってりして、素朴で。味わい深い陶器はやはり本当に料理を旨く食わせてくれる。

 

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