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2018.08.01

独断。盛夏のビアマグ愛好品評会。

やはり夏の至福は、缶ビールを開けた勢いでグビっと喉に流し込んだ時の数秒から十数秒である。

 

風呂上がりや仕事帰り、バーベキューなどでの「飲み方」の一つとしては最高だ。しかし、やはり美味い料理を家で楽しみながら、一杯目のビールと料理を「さて!頂きますか!」という感じの時には、やはり「ビアマグ」あるいは「ビアジョッキ」というものが存在を無しにビールを語ることはできない。そもそも今のように「缶」ができる前は、樽などの大きな容器から各々の器に注がれたものを楽しんでいたわけで、缶よりも当然、「正統派」というか、「由緒正しき」飲み方なのである。そういうところでいうと、実は僕は瓶ビールが好きだ。秋になると、どうもジョッキで生を飲むより、チビチビと茶色い瓶からコップに注いで飲むビールの方が、なんとなく味わい深い苦味を堪能できるような気がする。

 

ワイン一つにあれだけの形の種類のグラスがあるのだから、普段我々の生活により密着度の高いビールにも、美味しい器の楽しみ方があっても良いと思うのだ。

 

そんなわけで、どんな器で、ビールを旨く飲んだらいいのか。この2018年「どんなビールだってどんな飲み方だって美味く飲めるよ・・・」と思えるくらいの強烈な猛暑の中、探ってみようと思う。

 

今回、自他共に認める「器バカ」の私のビアマグ・コレクションを。

 

冒頭の写真。左から順に、

 

①備前焼の人間国宝、お酒好きでも有名だった故・「藤原 雄」氏の緋襷(ひだすき)のビアマグ。

 

②私の友人でもある堺の陶芸家、阪本健さんの、今年の新作ビアマグ。

 

③ドイツのお土産物として有名な軟質陶器の大型ビアマグ。

 

④最後も人間国宝、民芸運動の中心人物の一人、「濱田庄司」氏のビアジョッキ。

 

大御所から、本場モノまで、かなりの精鋭揃いである。

 

 

実は、マンションの大家さんがこの猛暑の中、特殊な荷物を運んで捨てるのに困っていたので、私のバンに詰め込んで、処理業者のところまで運んであげたのだけれど、そのお礼にとたんまりビール券を頂いてしまった。「いやいや〜そんな・・・。いいですよ!」と言いながらもさすが大家さんは、私の目の奥のギラつきを見逃しはしなかった。丁重にお礼を言ったその足でスーパーへ向かった。「無欲の善意が、ビールに化けた」のだった。

 

日本酒とビールに異常に詳しい友人が先日の酒の会で絶賛していた「限定アサヒ生」を購入。

 

 

まずは、①備前焼 藤原雄氏の緋襷マグ。

 

さすがは備前。ビアマグといえば、「備前焼」。昔からこれは定説として世間では言われている。その評判通り、一番シルキーな泡を立てる印象がある。備前らしい風格ある「サンギリ」より、このような緋襷(ヒダスキ)の方が、ビアマグに限れば適しているのかもしれない。なぜなら風合いある自然釉の表面は、やはりつるりとしすぎている。反面この緋襷は、土器のような地肌のザラ付きが泡立ちに良い作用を起こすように思うのだ。

 

 

続いて②阪本健 氏 2018新作粉引マグ。

 

実は去年から『最高のビアマグを作って欲しい』と阪本さんに懇願していたのだけれど、映画の為に作陶した抹茶茶碗が堺市に寄贈されるなど多忙な中、満を持して今年の新作を発表。彼の真骨頂の一つ『粉引』シリーズのビアマグをGETできた。細かなかいらぎ(地肌のシワ)を見てとれるが、表面は幾分滑らかに仕上げてある。憎い演出である。これは…いいが泡立つに違いない。前出の備前焼と性質は違えど、泡立ちを意識した作陶に脱帽である。

 

 

そして③ドイツ・軟質陶器大型ビアジョッキ。

 

大きい・・・とにかくデカい!ぼぼ「花瓶」である。500ml缶も若干持て余す容量。軟質陶器で見た目の割に意外にも軽い。きっと、オクトーバーフェストの頃、このジョッキで口に白い髭を作りながら1パイントをグビグビ呑む姿をイメージするとたまらない。が、さすがにこのサイズは、我々日本人の家飲みにはハードルが高いか。キンキンに冷えた日本のビールをお代わりしながら飲むには、あともう一回り小さかったら…!

 

 

最後は、④益子焼の濱田庄司。鉄釉ビアマグ。

 

さすが。と器を購入した時に感動してしまったのは、外側の鉄釉(黒褐色の釉薬)でまさに彼の器らしい色気を醸しつつ、内側が泡立ちを相当に意識した、世に出ている彼の数々の作品であまり見たことの無いような、ザラ付きのある肌に仕上げられている。それでいて口当り部分には、艶やかに透明に近い釉薬がかかっているというまさに彼らの「民芸運動」が常に求めていた「用の美」のこだわりが、こんな所にも垣間見える。

 

これは、一位を決められない。
しかし、見て頂きたいのが、阪本さんのビアマグに、なんとなく注いだ泡のシルキーさ!
私はビールのCM現場でプロの仕事を見て(しかも飲んで)いるから、美味い泡が分かるのです。もちろん、ビアマイスターや優れたバーテンダーが立てる泡とは到底比べようもないわけだが、誰もが無造作に缶ビールから注いだ泡が旨そうであるというところにこそ、評価できるというものだ。

 

悩むところだが・・・、純粋に、「夏に缶ビールを開けて最高に美味くビールを呑む器」という一点において、今回は「阪本健」氏と「濱田庄司」氏のビアマグを、同位の金賞🥇。

ということで今宵はもう一杯ずつ乾杯したいと思う。

 

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